フランス紅茶の世界へようこそ

ワインやコーヒーの印象が強いフランスですが、紅茶の国と呼ばれている隣国のイギリスより先にお茶と出会っていた国なんです!

今回は「フランスとお茶の出会い」から「現在の紅茶の楽しみ方」まで、約400年ほどの歴史を振り返りながら幅広くご紹介します!

まずはフランスとお茶の出会いから。

1636年にお茶がフランスへ伝わりました。イギリスが1650年。その差なんと14年。

オランダ人によってパリに茶葉が持ち込まれましたが、当時のフランスでは「茶は体に良くない」というフランス医学会の論争により、茶は浸透せず。その後イギリスが世界の紅茶を独占、フランス市民はコーヒーやチョコレートを好み、カフェ文化が流行しました。

フランスの紅茶の歴史はマリアージュ家なしでは語れないと言われています。

フランス語でマリアージュとは「結婚」を意味する言葉ですが、マリアージュフレールのマリアージュとは「マリアージュ家」と言う意味。またフレールの意味は「兄弟」「香り」。つまりマリアージュフレールとは「マリアージュ家の兄弟が創設した会社」という意味。1660年頃、ニコラマリアージュはルイ14世の命により通商条約を結ぶためペルシャを訪れました。

その後、1854年にニコラピエールの祖先ニコラピエール兄弟の子孫であるアンリエドゥアール兄弟がフランス初の茶類輸入会社「マリアージュフレール」を設立。この兄弟によってお茶の味わいが研究され知名度を上げていき、マリアージュフレールが「フランス流紅茶芸術」と呼ばれるまでになりました。

当初フランスで敬遠されていたお茶をこよなく愛した人物がいました。それはフランスにおける権力と栄華の象徴と言える存在、ルイ14世(ブルボン朝第3代の国王、ベルサイユ宮殿を建てた人物。)

1665年、消化器官に問題のあるルイ14世のために「消化の改善の効果がある」とお茶(緑茶)が処方されました。当時、中国や日本では痛風や心臓障害で苦しむ人が少なく、お茶(緑茶)は「万能薬」だと考えられていました。ルイ14世は万能薬としてお茶を飲んでいたため、フランスのお茶を独り占めするため国内のお茶の販売を禁止したとも言われています。

18世紀フランスでは、コーヒーを楽しむ「カフェ」は政治家、哲学者、芸術家など「男性」の情報交換の場として使われていました。しかし女性禁制。よって「女性」が自由に出入りすることができるおしゃべりの場として「サロン・ド・テ」(salon de thé)が生まれました。しかし紅茶はコーヒーよりもずっと高価なものであり、貴婦人たちが甘いお菓子と一緒に嗜むものという印象があり「嗜好品」と位置付けられていたため、当時の一般市民には普及しませんでした。

後に一般的に飲まれるようになったのですが、流行の火付け役となったのは、フレーバーティーの発展でした。味や香りに制限のあるストレートティーより、香料や花びら、果皮などで香り付けしたフレーバーティーがフランスで大流行。数々の紅茶ブランドが誕生。特に有名なのが、マリアージュフレールというブランドです。紅茶に限らず、フランスは「香り」の文化が発達した国であり、東南部に位置する「香水の都」グラースではラベンダーやジャスミンなど、香料植物が生産されています。

最近では、茶葉を売る店として「メゾン・ド・テ」(maison de thé)が誕生しています。

  • 1635年頃  体に良くない
  • 1665年頃  薬(緑茶)
  • 19世紀前半 嗜好品(紅茶)
  • 19世紀後半 一般的に飲まれる

形式にとらわれず、自由に香りと雰囲気を味わうフランスでは、味わいが濃い紅茶よりも軽い紅茶が好まれます。渋みが強い紅茶やミルクティーに合う茶葉より、スッキリと軽やかな紅茶が好まれているようです。なのでティーポットに茶葉を入れたまま紅茶を楽しむという飲み方はせず、好みの濃さになったら茶葉を取り出す人が多いそう。フランスでは独自に乾燥した茶葉に、果物や香辛料で味をつけたフレーバードティーが好まれます。

2種類のフレーバードティ

  • 茶葉に香料を吹き付けたもの
  • 花や果実、香辛料を混ぜ込んだもの

1854年創業、170年以上もの歴史がある老舗の紅茶ブランド。世界35ヵ国、500種類以上の銘柄を取り揃えている。高級感のあるブラックの缶に入ったクラシックデザインが人気。

フォション 

フランスの高級食料品店として1886年創業。創業当時から創造性と時代の最先端を目指す、コンテンポラリーな独創性に優れている。この店でしか手に入らない高級食材を販売すること、品揃えに力を注いできた。取り扱っている豊富な種類のフレーバーティーの中でも特にアップルティー(フォションが初めて手がけた上質でコクのあるセイロン+甘酸っぱいリンゴの香り)の人気が高く有名。

エディアール

1854年、当時パリで最も賑やかだったマドレーヌ広場に店を構える。創始者であるフェルディナン・エディアール氏は創業当時から常に専門知識を探求してきた。ブレンダーたちは茶園、産地、収穫の状態によって茶葉をブレンド。花、フルーツ、天然香料を加える。卓越したノウハウを使い、それぞれのブランドの持ち味とを演出。赤い缶が特徴的。

ニナスティー

かわいい赤い缶が特徴的な二ナスは元々、香料会社として1672年創業。1900年から天然の上質なアロマだけを厳選し着香。